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日常生活では、どんな店屋の主人でもしごくあたりまえに、ある人が自分がこうだと称する人柄と、その人が実際にどういう人であるのかということを区別することぐらいはできるのに、わが歴史記述ときては、まだこんなありふれた認識にさえも達していないのである。それは、あらゆる時代を、その時代が自分自身について語り、思い描いた言葉どおりに信じ込んでいるのである。    『ドイツ・イデオロギー』

私家版・従軍慰安婦問題のリンク集(2008・8)

080803

[] 20万人朝鮮人従軍慰安婦強制連行説(キーワード化予定) 21:12 はてなブックマーク -  20万人朝鮮人従軍慰安婦強制連行説(キーワード化予定) - kmiura  20万人朝鮮人従軍慰安婦強制連行説(キーワード化予定) - kmiura のブックマークコメント

ネット右翼がばらまいている『”従軍”慰安婦をめぐるウソ』は、知る限りその多くがネット右翼自身によって「左翼による捏造」として作り上げられたもの。その一例。

92年1月11日朝日新聞の報道

http://www.zephyr.dti.ne.jp/~kj8899/a_92.1.11.jpg

一部抜粋

http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070816

 <従軍慰安婦> 1930年代、中国で日本軍兵士による強姦事件が多発したため、反日感情を抑えるのと性病を防ぐために慰安所を設けた。元軍人や軍医などの証言によると、開設当初から約8割が朝鮮人女性だったといわれる。太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる。

この短いキーワド解説から”朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる。”の部分だけが抜書きされた結果いかのごとき状況に。

秦郁彦教授は本当に……

http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20070719/1184904208#c

→コメント欄の議論。

nekoyama 2007/08/11 08:25 “数十万人もの慰安婦が強制連行された”という主張が存在しなかったとは驚きです。1992年1月 11日付の朝日新聞東京朝刊1頁に出た「従軍慰安婦=挺身隊(8~20万人)=強制連行」の記事がことの始まりです。この虚報に便乗して数十万人強制連行説を唱えた輩が当時多数生まれました。教科書検定で二〇万人に言及した箇所が軒並み削除された頃を、私はリアルタイムに経験しています。ですから、あなたが拙稿を読んで「勝手に読み取った誰かの意見を信用してしまったのだと考え」たことは、「憶測」に基づく「誤解」に過ぎません。私は事実をもとに論じています。

nekoyama 2007/08/17 22:44 あなた方は字面追いしかできないようです。朝日の報道に書かれた8~20万人がなぜ慰安婦の総数を意味すると断言できるのでしょうか。主語が欠如して文意で読めとは新聞記者のお家芸です。あなた方は総数として読みたいでしょうが、これを強制連行の数と理解する人もいます。

ただこのような論点は、この場での議論では些末なことです。朝日の報道が契機となって、数十万人強制連行説(数百万人を提示する者もいました)が跋扈したのは事実だからです。その点では、8~20万人を強制連行の数と「誤読」したり「曲解」した人が多かったわけで、あなた方の見方は「正当」であっても当時であれば少数派ということになります。そもそもそれまでの朝日の報道からすれば、8~20万人を挺身隊の名目で慰安婦として強制連行した、それが今回、軍の関与が証明されたという筋書きで理解されるのは自然でした。

Apeman 2007/08/18 01:11 >あなた方は字面追いしかできないようです。

ならばあなたは「字面追いすら」できないと云うことになりませんか? 「主語が欠如」? これは「従軍慰安婦」についての用語解説です。したがって「その人数」の「その」が指すのは「従軍慰安婦」に決まってます。用語解説は「主として朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した」のが「太平洋戦争」開始以後だとしているのだから、「従軍慰安婦=挺身隊の名で強制連行された者」でないことは自明であり、「強制連行=8~20万人」と誤って読んでしまえば、この用語解説は「従軍慰安婦」についての者であるのにその総数については触れず、なぜかその一部であるはずの強制連行の被害者数についてのみ触れた珍妙なもの、になってしまうのです。

hokke-ookami 2007/08/16 08:15 時間がないので、おおまかな点を手短に。

criticalityさんへ。

>ちなみに、この通説に便乗したと思われる「数十万人強制連行説」は存在しました。当時のジャパン・タイムズです。

ジャパンタイムス記事は『慰安婦と戦場の性』13頁で言及されているものがありますね。ただ、秦教授の引用から見ても数十万強制連行とはニュアンスが違います。

【ところがジャパン・タイムズ紙はこの外相発言を紹介したのち「この発言は、政府の責任者が日本軍によって第二次世界大戦中に何十万人(hundred of  thousands)ものアジア人<慰安婦>に対する強制売春(forced prostitution)に加担したことを、初めて認めたもの」(十三日付、傍線は秦)と悪質な解説文を付け加えた。

 外相が言及せず朝日さえ認めていない「何十万人」とか「強制売春」を、さりげなく足したわけだが(2)、その後は各種のメディアが競合する形で、この方向へ報道と論調をエスカレートさせていく。】

(引用文中の外相発言とは、渡辺美智雄が92年1月11日にテレビ出演した際のもの。傍線は「何十万」と「強制売春」に)

【(2)ジャパン・タイムズの偏向姿勢は、外国新聞の東京支局を通じて流れ、この問題の海外における初期イメージを定着させたようである(『諸君!』一九九二年八月号の佐瀬昌盛稿参照)。】

“hundred of thousands”は確かに数十万という意味になりますが、広いニュアンスを持っているので、8~20万人という推定数を英訳する際に必ずしも不適切ではないようです。

何より、「強制売春」は「強制連行」とは違う意味です。従軍慰安婦制度における強制とは、慰安婦を集める際の暴力的な連行だけでなく、権力による威圧や金銭による拘束、海外への移送、慰安所での強圧的な指示等、相当に広い意味をふくんでいます。つまり強制連行と数十万人を等号で結んだ記事ではないということです。

逆に、このジャパンタイムズ記事からは、92年初頭初期すでに強制連行以外の広い問題意識が海外でも共有されていたこともうかがえます。

秦郁彦教授から派生して

http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20070817/1187393858

→コメント欄の議論

c.f.

慰安婦と野暮な男とアジア女性基金による解決

http://shanxi.nekoyamada.com/archives/000399.html

nekoyamanekoyama2008/08/06 20:04あなたは「20万人朝鮮人従軍慰安婦強制連行説」と名付けていますが、以下に見るようにその数は一〇万~二〇万と幅があります。そもそも私は「数十万人」と述べました。勝手に「捏造」しないでください。
本題ですが、数十万人の慰安婦が強制連行されたという説が当時世間で流布していたのは事実です。単なる勘違いではありません。くだらない話題なのに、ほっておくといつまでも蒸し返されるので、面倒ですが以下に指摘しておきます。
鈴木祐子『朝鮮人慰安婦』(岩波ブックレット,1991年)は、「すさまじい“慰安婦狩り”」と題して、吉田清治証言にもとづき、慰安婦の強制連行についてその無法を記した上で、以下のように続けています。

「このように連れてこられた朝鮮人慰安婦の数は、さきに述べたように従軍慰安婦そのものが「軍馬」以下の「軍需物資」として扱われていましたので、今のところはっきりとはわかっていませんが、<b>少なく見積っても一〇万を下ることはない</b>だろうと思われます」(P44)

文脈から強制連行された慰安婦の数を述べていることは明らかで、鈴木は、慰安婦が総数としてどれくらいかは分からないが、十万人以上の朝鮮人女性が慰安婦として強制連行された、としているわけです。どなたかが指摘するように、朝日の記事と同じく「なぜかその一部であるはずの強制連行の被害者数についてのみ触れた珍妙なもの」になっているわけで、それは偶然ではありません。世間ではそのような手法を「印象操作」と呼びます。
さて、この一文の後、鈴木は続けて金一勉の著作に言及しています。金は1976年に三一書房から『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』という本を出していますが、そこには慰安婦の強制連行を朝鮮民族への抹殺政策と位置づけた上で、以下のように記しています。

「この村、あの村、この郡の人々、あの郡の人々の、さらわれた娘たちを概算することは可能である。その数を<b>世称「二〇万人」</b>とみている」(P259)

ちなみに金は同書のあとがきで、朝鮮人慰安婦の総数を二〇万人としていますから、そのほぼ全員が強制連行されたということになります。そのような認識は当時一般的でした。挺身隊=慰安婦=強制連行という図式だったわけで、件の朝日の記事もそれに立脚しているわけです。
鈴木本について言えば、当時の高校歴史教科書の教師用指導書で、生徒用の参考書として推奨されています(『平成9・10年度版 高等学校新日本史B指導資料』桐原書店)。熱心な子であればあるほど、虚構の被害を受けてしまう悲劇です。ともあれ、ちょうど朝日が軍関与を指摘した頃には、一〇万や二〇万といった「数十万人説」があったわけで、それが教師用指導書で生徒用に推奨されていた本に堂々と載っているわけですから、「ネット右翼自身によって「左翼による捏造」として作り上げられたもの」ではないことは明らかです。

kmiurakmiura2008/08/06 20:44nekoyamaさん、はじめまして。

詳細な情報、ありがとうございます。参考にします。
金一勉さんの『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』(1976)がここでいう20万人強制連行説の最初の例、ということでしょうか。あと、92年前後の様子もお詳しいようなので、お聞きしたいのですが、「広義の強制はあったが狭義の強制はなかった」に相当するような発言は当時ありましたか。

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