マクドゥーガル報告書

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マクドゥーガル報告書

正式名称 『武力紛争時における組熾的強姦、性奴隷および奴隷類似慣行、特別報告者ゲイ・J・マクドゥーガル氏の最終報告書』

『ゲイ・マクドゥーガル特別報告書』あるいは『マクドガル報告書』とも呼ばれている。

1998年8月21日、スイスのジュネーブで開かれていた国連人権小委員会(差別防止少数者保護小委員会)で全会一致で採択。

原文

Systematic rape, sexual slavery and slavery-like practices during armed conflict

Final report submitted by Ms. Gay J. McDougall, Special Rapporteur(22 June 1998)LINK

Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights(LINK)

関連リンク

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ウィキペディア

2 全文書の和訳は出版されている。

序にかえて――VAWW‐NET Japan代表 松井やより

http://www.gaifu.co.jp/books/2503/maegaki.html

  • 「慰安婦」が問い始めた女性への戦争犯罪
    • 国際人道法と女性の人権の普遍的な視点で
    • マクドゥーガル報告作成の国際的な背景
    • クマラスワミ報告」、日本政府の賠償責任を強調
    • マクドゥーガル報告、日本政府は受け入れを拒否
  • 武力紛争下の組織的強かん、性奴隷制および奴隷制類似慣行に関する最終報告書
    • 性奴隷制・性暴力はなぜ「不処罰」だったのか
    • 「慰安婦」制度は五つの国際犯罪であり、実行者、責任者、共犯者を裁く
    • 被害者への原状回復に国家賠償が必要
    • 八項目の勧告――性暴力を裁くための国内法改正も提案
  • 付属文書――第二次大戦中設置された「慰安所」に関する日本政府の法的責任の分析
    • 日本政府の「慰安婦」問題の見解
    • 「慰安所」は奴隷制、戦争犯罪、人道に対する罪
    • 当時は国際法違反でないという日本政府の主張は誤り
    • 個人の刑事責任追及、上官は命令責任
    • 「慰安婦」問題で四項目の勧告――刑事責任追及と国家賠償
  • 暴力の二〇世紀を清算して二一世紀へ
    • 戦時・性暴力の責任者処罰を求める国際的な女性運動の高まり
    • 孤立を深め、国際社会の非難の的になっている日本
    • 日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷を二〇〇〇年に開廷

3 紹介・批判等

冒頭部に20万人の慰安婦、という数字がでてきますが、これには批判がいくつか。ウィキペディアにはマクドゥーガルが来日した際に吉見さんが20万人という数字の根拠を確認したところ、無視された、という経緯が記載されています。また、数字の由来についてですが、失言で名を馳せた日本の自民党の政治家の発言がそのまま引用されている、という点も指摘されています。

さらに一部和訳を掲載した碧猫さん@13日の水曜日のページから以下引用。紹介と批判点、および参考にできる部分について、説明がしてあります。

http://azuryblue.blog72.fc2.com/blog-entry-114.html

元々は、1998年6月22日、国連の差別防止・保護小委員会特別報告者ゲイ・マクドゥーガル氏が同小委員会に、報告書「奴隷制の現代的形態―軍事衝突の間における組織的強姦、性的奴隷制、及び奴隷制的慣行」として提出したもの。

書籍版は「戦時・性暴力をどう裁くか―国連マクドゥーガル報告全訳 (単行本(ソフトカバー))」で、「 Gay J. McDougall (原著), バウネットジャパン (翻訳), 松井 やより (著), 前田 朗 (著)」だと思いますが、私は未読。

引用分は外務省の仮訳で、紙版ではA4版で25ページ分あるそうです。

報告書は、「財団法人 女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」に掲載されているPDF冊子『慰安婦』問題とアジア女性基金  (財団法人女性のためのアジア平和国民基金 )」の11ー12ページにて

(マクドゥーガル氏は報告において)『日本政府と日本軍は 1932 年から 45 年の間に全アジアの レイプ・センター(rape centers)での性奴隷制を 20 万以上の女性に強制した』とし、『これらの女性の 25 パーセントしかこのような日常的虐待に堪えて生き残れなかったと言われる』と述べ、その根拠として『第二次大戦中に 14 万 5000 人の朝鮮人性奴隷が死んだという日本の自民党国会議員荒船清十郎の 1975 年(ママ)の声明』があると指摘しています。

 慰安所をひとしく「レイプ・センター」と呼ぶことも当を得ませんが、「慰安婦」にされた者は 20 万人以上だという断定も根拠がありません。

と批判されています。この、数値部分の指摘に関しては同冊子にて

『慰安婦』の総数を知りうるような包括的な資料は存在しません。そういうものはそもそも作られなかったと考えられます。したがって、総数についてのさまざまな見解は、すべて研究者の推測によるものです。

として様々な見解が紹介されてもおり、マクドゥーガル氏が記述する「慰安婦」数の根拠が弱いことは冊子内の上述箇所に続く部分で詳細に指摘されています。

 しかし、国際法等によって日本政府の見解を論破している辺りは参考になり、日本弁護士連合会の「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第16条及び第17条に基づく 第2回日本政府報告書についての日弁連報告」でも「各論13元「従軍慰安婦」及び戦時性奴隷の被害救済」の項目において

1. 旧日本軍の「従軍慰安所」に関する行為や強姦行為は、それが行われた当時の国際法で禁止された行為ではなかった。

2. 「従軍慰安婦」個人は、国際法のもとで損害賠償を求める法的権利がない。

3. いかなる請求権もサンフランシスコ講和条約をはじめとする戦後の国際協定によって放棄され、解決済みである。

4. 「従軍慰安婦」被害に関する責任は、すべて時効によって消滅している。

これらの日本政府の反論に対しては、上記のマクドゥーガル報告が詳細に論破しているところである(E/CN.4/Sub.2/1998/13)。

として紹介されている辺り、アメリカやカナダ…その他の諸外国を納得させるには、マクドゥーガル氏の報告書以上に説得力のある材料が必要であると考えられるでしょう。

4 吉見義明中大教授が指摘するマクドゥーガル報告書の問題

 マクドゥーガル報告は政府調査に基づくといっているが、若干の問題がある。

 以下、じつは政府資料にない

  • 1.「慰安婦」総数20万人以上…は、ハッキリしない。吉見が5万から20万人と推計したもの。

 

  • 2.民族別で朝鮮人が多数という確証はない。朝鮮人が多かったが、他のアジアの女性も多数いる。
  • 3.生還が25パーセントという根拠となる資料はない。
  • 4.年齢が11歳からという資料はない。公文書では14歳がもっとも若い。21歳未満が半分を超えるということはいえる。

一部和訳

全体の一部である、「第二次世界大戦中に設置された「慰安所」に対する日本政府の法的責任の分析」は外務省による仮訳がアクセス可能。原文は

Appendix "AN ANALYSIS OF THE LEGAL LIABILITY OF THE GOVERNMENT OF JAPAN FOR "COMFORT WOMEN STATIONS" ESTABLISHED DURING THE SECOND WORLD WAR" (LINK)

キーワードのファイルサイズには上限があるようなので、全文の和訳は別項のキーワードに掲載しました。

参照 → キーワード マクドゥーガル報告書補遺

あるいは、以下の目次のリンクからどうぞ。

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第二次世界大戦中に設置された「慰安所」に対する日本政府の法的責任の分析

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