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35kmiurakmiura   33  Re:グレシャムの法則は適用できるか。

lunakkoさん

どうぞ、といいたいところですが、まだダメです。

lunakkoさんがそのように指摘するときはクリスマス島の話のよきのように、きっとどっか抜けていて、その抜けているところがあるから全部ダメです、といわれてしまうのだろうな、と思って見直しました。たぶん、軍票は信用貨幣である一方、ウィキペディアグレシャムの法則の定義は”それ自体に価値のある”貨幣にしか適用できない、ということでしょう。

(1)投稿31で示されている事実は、軍票が流通しはじめるとともに、人々は元からあった現地の通貨を大切にキープしはじめた、この結果として市場からマラヤドルが消えていった、ということです。

(2)となると私の投稿のダメな部分は、この現象を、グレシャムの法則である、とみなすかどうかを検討していない、ということです。すなわち貴金属ではない信用貨幣なのに、それをグレシャムの法則と呼んでいいのか。

というわけで、この2点がはっきりするように投稿31を書き直しますね。書き直したあとでまた、なにか気づく点がありましたら、よろしくおねがいします。元の文章はあとで、この投稿の下にでも追加します。

kmiura

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永井先生 & lunakkoさん

 それ以外に、現地通貨を回収して、使用禁止にしたという例はでてきませんでした。逆に、通貨回収がおこなわれていなかったことを示す当時の文書が5の文献の329頁にみつかりました。

 それは、当時南方軍政監部調査部に勤務していた司政官の樋口午郎氏が昭和18年12月に「軍政資料」という軍政監部の雑誌に発表した「在来通貨回収問題ニ就テ」という論文です。

 これはおもに、マレー・シンガポールスマトラのことなのですが、樋口氏は、2億4千万ドルの在来通貨の大半が退蔵されていて、ほとんど流通していない。これは現地住民が南発券よりも在来通貨を信用しているからで、なぜそうなるかといえば、南発券は日本だけがその信用を保証しているのに対して、在来通貨は日本とイギリスと両方が信用を保証しているので、それでより安全な貨幣として退蔵されているのだ、と推測しています。

住民が在来通貨を”退蔵”すなわち隠していた、というのは次のシンガポール金融局が出している調査報告の内容と合致します。lunakkoさんの主張の一部は正しくて、たしかに在来通貨は軍票に”入れ替わった”のでしょう。ただしlunakkoさんの主張とは逆に、”悪貨は良貨を駆逐する”(グレシャムの法則)にしたがっており、日本の軍票の価値が高かったからではなく低かったからです。

World War II occurred soon after the Board of Commissioners of Currency expanded to include the Malaya States. During this period, the Japanese military administration issued their military notes (probably known as banana notes because thee notes depicted the banana plants on their faces) at par to the local currency. The inferior Japanese money soon dorve out the British notes by Gresham's law, succeeding in transferring the resources from the people at the cost of mounting inflation. With the end of war, the banana notes were withdrawn and demonetised and the currencies issued under the 1938 Agreement were brought back in use.

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A Survey of Singapore's Monetary Policy

Occasional Paper No.18 jan. 2000

Financial and Special Studies Division

Economics Department Monertary Authority of Singapore

www.mas.gov.sg/resource/publications/staff_papers/MASOP018-ed.pdf (PDF)

p18 foot notes

和訳

通貨理事会がマラヤの国々を含めるようになってすぐに、第二次世界大戦が起こった。この期間の間、日本の軍政はその軍票を地元通貨に対してパーで(訳註:1対1ということ)発行した(バナナの樹が描かれているので、バナナ紙幣として知られている)。価値の低い日本のカネは英国の紙幣をグレシャムの法則により駆逐し、資源を人々から奪うと同時に膨大なインフレーションを起こした。戦争の終結と共にバナナ紙幣は回収され無効になり、1938年合意の元に発行された通貨が復活し再び流通した。

用語解説。

グレシャムの法則(グレシャムのほうそく)は、経済学の法則のひとつ。一般には内容の要約「悪貨は良貨を駆逐する」で知られる。

貨幣の額面価値と実質価値に乖離が生じた場合、より実質価値の高い貨幣が流通過程から駆逐され、より実質価値の低い貨幣が流通するという法則の事である。従って、主に金貨や銀貨など、それ自体に価値のある貨幣に当てはまる法則で、貨幣自体に大して価値のない信用貨幣の場合は殆ど当てはまらない。

例えば、金の含有量の多い金貨と少ない金貨の二種類が、同じ額面で同時に流通したとする。この二種類には、通貨としての価値は同じでも貴金属としての価値は違うという、二重の価値が生じる。仮に、貴金属としての価値の高い方を良貨、低い方を悪貨と呼ぶ。

すると、人々は良貨を手元に置いておき、日々の支払いには悪貨を用いる傾向が生じる。貨幣を用いるとはその貨幣を手放すという事であり、貴金属としての価値の高い良貨は手放したくなくなり、日々の支払いには貴金属としての価値の低い悪貨で間に合わせておこうと考えるからである。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

"貨幣の額面価値と実質価値に乖離"がまさしく、公定為替レートと実質交換レートの差、ということになります。つまり、日本の軍票の実質的な価値は額面よりも低かった、ということを示しています。

[追記] これまでやってませんでしたが、現地のほうの役所のサイトをしらべるといろいろデータがでてくるかもしれません。まあ、それででてこなかったら、ビルマとかシンガポール専門家にメールを書いて見ます。


[追記2] 

シンガポールの情報を追加。こちらの記載もマラヤドルは軍票や南発券よりも信頼できるんで、隠していました、とのことです。また、南発券は公式には1マラヤドル=1南発券ドルでペグしていたが、その実勢価値は発行後たちまち下落していったとのこと。上のシンガポール金融局財務部調査部のレポートと同じ内容です。

Singapore

23 February 1942-31 March 1943

Monetary authorities:Japanese (military) government (headquarters Tokyo, Japan) alongside Board of Commissioners of Currency, Malaya (headquarters Singapor)

Exchange Rate Arrangement: hard peg (as part of currency union); Japanese military $1 = 1 Japanese yen = Malayan $1

Remarks: The Japanese issued an occupation currency following their conquest of present-day Malaysia and Singapore during the Second World War. The decree law of 1942 allowed the continued use of the Malayan dollar. However, Malayan dollars soon went out of circulation because they were hoarded as a more reliable store of value than Japanese military currency.

Exchange Rate Arrangement, Remarks: The Malayan dollar continued to be accepted by Japanese occupation forces, though it was inconvertible into pounds sterling. The currency board held its assets in London for safekeeping during the war. Convertibility into the Japanese yen was limited. The decree law of 1942 allowed the continued use of the Malayan dollar. However, Malayan dollars soon went out of circulation because they were hoarded as a more reliable store of value than Japanese military currency. The prewar exchange rate had been about 2 Japanese yen = Malayan $1.


1 April 1943-4 September 1945

Monetary authorities:Nampo Kaihatsu Kinko (Southern Development Bank) (headquarters Tokyo, Japan)

Exchange Rate Arrangement: hard peg (as part of currency union); Southern Development Bank $1 = 1 Japanese yen

Remarks: The Southern Development Bank was the Japanese occupation central bank for present-day Brunei, Burma, Indonesia, Malaysia, Philippines, and Singapore. Notes of the Malayan currency board no longer circulated, though they continued to be hoarded as stores of value.

Exchange Rate Arrangement, Remarks: The Southern Development Bank, the Japanese occupation central bank for southeast Asia, began issuing notes. Notes of the Malayan currency board no longer circulated, though they continued to be hoarded as stores of value. On the black market, the Southern Development Bank dollar depreciated rapidly against the still-hoarded Malayan dollar, to which it remained officially equal.

http://users.erols.com/kurrency/asia.htm

オリジナルが表なので、箇条書きに変えてあります。これはあとで和訳して追記するつもりです。なお、戦前の為替レートは1マラヤドル=2日本円(公式かどうかは書いていない)。占領中の軍票の公式交換レートは1マラヤドル=1軍票ドル、1マラヤドル=1南発券ドル。

以上、三つの文献から、占領下のシンガポールで南発券のオフィシャルな価値はマラヤドルに対して固定されていたが、実勢価値はマラヤドルに対して目減りしていった、という仮説がより確からしい、ということになります。

なお、ビルマのことを考えると共通性があります。戦前はおおよそ1日本円=1ビルマルピーで、日本占領当初には1軍票ルピー=4ビルマルピー、とのこと。占領当初は価値が高いけれど、そのあとどんどん日本の軍票の価値が下落する、という傾向があるように思われます(繰り返しますが、これは実勢価値の話)。このあたりはもっと詳しく調べないとダメみたいです。

なお、このサイトは以前私が引用したのちにlunakkoさんがクリスマス島にはその時期日本軍は撤退していなかったのではないかと指摘し、それに対して私が、いや、この記述はおそらく海峡ドル圏に共通の話でクリスマス島に限った話ではないだろう、おそらくシンガポールとか情報のある場所のことがかいてあると考えられる、と答えたページのあるサイトです(この私の返答をlunakkoさんは理解されていないみたいですが)。クリスマス島のページからURLを上にたどって、よく探したらシンガポールの情報もありました。というわけで思ったとおりで、クリスマス島の情報は、シンガポールの情報のようです。そもそもクリスマス島の方の情報に

Remarks: Japanese forces captured the island during the Second World War. The decree law of 1942 allowed the continued use of the Malayan dollar in Malaya and Singapore. However, Malayan dollars soon went out of circulation there because they were hoarded as a more reliable store of value than Japanese military currency. It is not clear what the situation was on Christmas Island.

と太字のように書いてあるので、クリスマス島の状況にこだわる必要はないのですが、ちゃんと指摘しておくべきでした。

返信2007/06/04 01:10:14
  • 35Re:グレシャムの法則は適用できるか。 kmiurakmiura 2007/06/04 01:10:14
    lunakkoさん どうぞ、といいたいところですが、まだダメです。 lunakkoさんがそのように指摘するときはクリスマス島の話のよきのように、きっとどっか抜けていて、その抜けているところ ...
    • 36Re:Re:グレシャムの法則は適用できるか。 lunakkolunakko 2007/06/02 22:38:19
      lunakkoさん どうぞ、といいたいところですが、まだダメです。 そうですか。 lunakkoさんがそのように指摘するときはクリスマス島の話のよきのように、きっとどっか抜けていて ...