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28nagaikazunagaikazu   24  Re:Re:永井先生へ

 次の2点についての調査ですが、まだ不十分ですが、いちおう報告しておきます。

A.日本軍は南方(とくにビルマ)において現地通貨の回収をおこなったのか。

B.軍票および南発券と現地通貨との間に等価でない交換レートが設定され、そのレートはだんだんと現地通貨に不利になっていたのか。

私が参照したのは、以下の文献です。

1.日本銀行調査局編『図録 日本の貨幣10 外地通貨の発行(1)』東洋経済新報社1974年

2.日本銀行調査局編『日本金融史史料 昭和編』第27巻、大蔵省印刷局1970年

 「満洲事変以後の財政金融史」日本銀行昭和23年11月

   この中の第4章対外金融

 「戦時金融統制の展開」日本銀行昭和18年4月

3.日本銀行調査局編『日本金融史史料 昭和編』第30巻、大蔵省印刷局1971年

 これにおさめられた日本銀行調査資料のうち

「南方占領地経済対策ノ現状ニ就テ」日本銀行昭和18年10月15日

「南方ニ於ケルインフレーションノ問題」日本銀行昭和18年12月9

4.太田常蔵『ビルマにおける日本軍政史の研究』吉川弘文館、1967年

5.岩武照彦『南方軍政下の経済施策』上巻、汲古書院1981年、復刻版1995年

6.岩武照彦『南方軍政論集』厳南堂書店、1989年

 第4章「太平洋戦争期の外貨軍票および南方開発金庫券」

 以上をみるかぎり、一つの例外をのぞき、南方占領地で、現地通貨の軍票(含む南発券、以下同じ)による回収をおこなったとの記述はみあたりませんでした。その例外ケースは、1の文献の325頁に記載されている、ニューブリテン島ラバウル)の例で、ここでは昭和18年3月14日に、日本軍の民政部長が布告を出して、それまで流通を認められていた銀貨(シリング、ペンス表示)、ニッケル貨・銅貨(ペンス)の回収と一定期間後の使用禁止を命じ、ポンド軍票以外の通貨を禁止しております。

 ニューブリテン島イギリスオーストラリア)の植民地で、この流通を禁止された銀貨、銅貨は現地通貨といってもオーストラリアの貨幣(すなわち敵性通貨)そのものですので、戦局が厳しくなれば、禁止されるのも当然かと思われます。

 

 それ以外に、現地通貨を回収して、使用禁止にしたという例はでてきませんでした。逆に、通貨回収がおこなわれていなかったことを示す当時の文書が5の文献の329頁にみつかりました。

 それは、当時南方軍政監部調査部に勤務していた司政官の樋口午郎氏が昭和18年12月に「軍政資料」という軍政監部の雑誌に発表した「在来通貨回収問題ニ就テ」という論文です。

 これはおもに、マレー・シンガポールスマトラのことなのですが、樋口氏は、2億4千万ドルの在来通貨の大半が退蔵されていて、ほとんど流通していない。これは現地住民が南発券よりも在来通貨を信用しているからで、なぜそうなるかといえば、南発券は日本だけがその信用を保証しているのに対して、在来通貨は日本とイギリスと両方が信用を保証しているので、それでより安全な貨幣として退蔵されているのだ、と推測しています。

 樋口氏が日本が在来通貨に保証を与えていると言っているのは、「作戦開始当初軍は「現地通貨は軍票と等価なり」との布告を発し、この布告は現在に至る迄引き続き有効なるを以て、、現地通貨は言わば日本によりて南発券と同様の信用を与えられて居ることとなるからである」と説明されています。

 つまり、昭和18年12月まで、日本軍は「現地通貨と軍票の等価交換」の布告を維持していたことがこれからわかります。また、現地住民が軍票よりも現地通貨をより価値のあるものと考え、退蔵していたこともこれからわかります。現地通貨は軍票に比べて価値が下落したから、流通しなくなったのではなくて、その逆であると、当時の軍政担当者が認識していたのです。

 この状態を前にして、筆者の樋口氏は、この論文で「在来通貨の強制回収を主張」したのでした。このことは、それまで「強制回収」などされていなかったことを逆に示しています。

 もちろん、この樋口氏の提言がいれられて、強制回収がおこなわれたわけではありません。岩武氏(この方ご自身若いときに軍政要員として現地で南方軍政業務に従事されていました)は、強制回収はかりにやったとしても、きわめて困難で、在来通貨の無効宣言を出しても、ほとんど効果はなかったにちがいないと、記しています。

 以上のことから、現在の研究ではAが行われなかったと結論してもいいといえます。またBについても、上にあげた樋口氏の論文からも、交換レートの下落が生じていなかったことがわかりますが、それをさらに裏書きする記述が他の文献にもみられます。しかし、長くなったので、残りは次回といたします。

返信2007/06/01 21:24:11
  • 28Re:Re:永井先生へ nagaikazunagaikazu 2007/06/01 21:24:11
     次の2点についての調査ですが、まだ不十分ですが、いちおう報告しておきます。 A.日本軍は南方(とくにビルマ)において現地通貨の回収をおこなったのか。 B.軍票および南発券と現地通貨との間 ...
    • 31Re:悪貨は良貨を駆逐する シンガポールの例 kmiurakmiura 2007/06/04 01:36:56
      永井先生 & lunakkoさん  それ以外に、現地通貨を回収して、使用禁止にしたという例はでてきませんでした。逆に、通貨回収がおこなわれていなかったことを示す当時の文書が5の文献の329頁 ...
      • 33Re:Re:悪貨は良貨を駆逐する シンガポールの例 lunakkolunakko 2007/06/02 12:23:04
        四回目ですが、一応聞いておきます。本当にこれでいいのですね?? グレシャムの法則とか持ち出してますが、本当にそれでいいのですね?? 今回は、永井先生のこれに対する解答を待ち、先生の意見を伺った後に ...
        • 35Re:グレシャムの法則は適用できるか。 kmiurakmiura 2007/06/04 01:10:14
          lunakkoさん どうぞ、といいたいところですが、まだダメです。 lunakkoさんがそのように指摘するときはクリスマス島の話のよきのように、きっとどっか抜けていて、その抜けているところ ...
          • 36Re:Re:グレシャムの法則は適用できるか。 lunakkolunakko 2007/06/02 22:38:19
            lunakkoさん どうぞ、といいたいところですが、まだダメです。 そうですか。 lunakkoさんがそのように指摘するときはクリスマス島の話のよきのように、きっとどっか抜けていて ...