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7noharranoharra   永井論文「日本軍の慰安所政策について」などを読み返す

みなさま ごぶさたしております。

2018.9.25に small bear @Pooh_advancedという、知識があるのかないのかよく分からないがやたら発言量が多いネトウヨが、次のように書きました。

>>例の、軍の慰安婦募集の初期のころ、『軍の慰安婦なんてあるわけないから詐欺』という判断をして、全国の警察が、詐欺や略取誘拐の疑いで逮捕してる事案がありますね。

これ、結局は、軍の依頼であり、警察も噛んで合法性を確かめた上で 渡航させてたから、無罪放免になってます。<<

わたしは思わず、次のように書いた。

>>「「慰安婦」制度なんていうわけの分からないものを日本国家が遂行しようとして、婦女を連れ去ろうと不良っぽい業者が動いている」とは、夢にも思わず今までの常識で逮捕したら、軍からおこられて、地方の警察官は??と思った、わけですね。

戦後になってやはり、「地方の警察官は??と思った」感覚で正しかったんだとなりました。

それを70年経って、またわけの分からない解釈をもってこようとしている、うんと若い人がいるのか。恥ずかしい奴だ!

https://twitter.com/noharra/status/1044484000436314112<<

それに対し、mituzo@M... というひとが、こう突っ込んできました。

>>「軍からおこられて、地方の警察官は??と思った」史料ちょっと貼ってみ<<

(「史料」にこだわるところがネトウヨらしい。)

そこで、

A・永井論文「日本軍の慰安所政策について」 (永井和氏には、この掲示板などで大変お世話になった。感謝申し上げる。ここでは敬称略とさせていただく。)

http://nagaikazu.la.coocan.jp/works/guniansyo.html#SEC3

B・陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」 (1938年3月4日付-以後副官通牒と略す)

http://ianhu.g.hatena.ne.jp/keyword/%E9%99%B8%E6%94%AF%E5%AF%86%E7%AC%AC%E4%B8%83%E5%9B%9B%E4%BA%94%E5%8F%B7

C・和歌山県知事発内務省警保局長宛「時局利用婦女誘拐被疑事件ニ関スル件」(1938年2月7日付)

http://www.awf.or.jp/pdf/0051_1.pdf#63 〜82 。

論文及び二つの史料をいそいで、ざっと読んでみました。

というわけで、以下その結果。

B・陸支密第七四五号 編集 副官ヨリ北支方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒案(昭和十三年三月四日) をまず読もう。

http://ianhu.g.hatena.ne.jp/keyword/%E9%99%B8%E6%94%AF%E5%AF%86%E7%AC%AC%E4%B8%83%E5%9B%9B%E4%BA%94%E5%8F%B7

こちらに丁寧な資料と解説がある。昭和十三年三月:慰安婦問題では最初期、に注意する。

現代語訳を引用しておく。「日中戦争地(=中国)に慰安所設置をするため、内地(=日本国内)においてその従業婦を募集する際に、(1) ことさらに軍部了解などの名目を利用して、軍の威信を傷つけ、また一般人の誤解を招く恐れがある者。(2)あるいは従軍記者、慰問者などを通して軍部の統制が及ばない状況で募集し、社会問題を引き起こす恐れがある者。(3)あるいは従業婦募集に不適切な者がその業務に当ったために、誘拐まがいの募集手段を用い、警察当局に検挙され取調べをうける者も現れるなど、注意を要する者が少なくなかったことについて、今後、(i)これら(=軍慰安所従業婦)の募集などに当たっては派遣軍が統制すること。(ii)これ(=直接的な募集行為)を任せる人物の選定を手落ちがないよう適切に行うこと。(iii)その(軍慰安所従業婦の募集)の実施に当たっては関係地方の憲兵及び警察当局との連係を密接にすること。以上、日本軍の威信保持、並びに社会問題上、手落ちのないように配慮するよう依命通達する)」

1,軍が慰安婦を募集した。2,募集に当たってかなりグレーな勢力が関与していた。3,「日本軍の威信保持」のためによろしくたのむ。つまり警察に片目をつぶれ、と頼んでいる、ということですね。

ここからも、4,「慰安所の主体は軍ではなく業者だ」というのは妄説であることは分かります。

4−2、「強制連行を業者がすることを禁じた文書」とする自由主義史観派の主張も誤り と分かります。

さて、次に、永井論文による新資料であるC・和歌山県知事発内務省警保局長宛「時局利用婦女誘拐被疑事件ニ関スル件」を読みます。

「軍の依頼を受けた業者による慰安婦の募集活動に疑念を発した地方警察に対して、慰安所開設は国家の方針であるとの内務省の意向を徹底し、警察の意思統一をはかることを目的と出されたものであり、慰安婦の募集と渡航を合法化すると同時に、軍と慰安所の関係を隠蔽化するべく、募集行為を規制するよう指示した文書にほかならぬ、というのが私の解釈である。」というのが永井の結論です。

面白いところは、次のような和歌山県での事件の概要です。

「1938年1月6日和歌山県田辺警察署は、管下の飲食店街を徘徊する挙動不審の男性三名に、婦女誘拐の容疑ありとして任意同行を求めた。

二名は申し立てる。「疑わしい者ではない。軍部よりの命令にて上海皇軍慰安所に送る酌婦募集に来たるものにして、三千名の要求に対し、七十名は1938年1月3日より陸軍御用船にて長崎港より憲兵護衛の上送致済なりと称し」立出たり。

探すと「某料理店に登楼し酌婦を呼び酌しせしめつつ上海行きを薦めつつあり」

「交渉方法に付き、無知なる婦女子に対し金儲け良き点、軍隊のみを相手に慰問し食料は軍より支給する等勧誘の容疑ありたる」をもって被疑を同行取締を開始したり。

(何をやってるんだ?と警官はびっくりした、当時の警官の常識においては完全に黒に近いグレーと感じたわけです。)

身柄は釈放。

さっそく、問い合わせしてみたところ、意外にも長崎県外事警察課長から、貸席業佐賀外二名の婦女誘拐の嫌疑取り調べに対し、皇軍将兵慰安婦女の渡港(この漢字が正確に読めない http://www.awf.or.jp/pdf/0051_1.pdf#71)を許可している旨回答があった。

ということですね。

「ただ、警察から誘拐行為と目されることになったのは、軍がそのような施設をつくり、業者に依頼して女性を募集しているという話そのものが、ありうべからざること、にわかには信じがたい、荒唐無稽なことだったからに、ほかならない。」警官がびっくりしたのかどうか、については永井もこう書いています。

「和歌山田辺の事件では大阪九条警察署長が「内務省ヨリ非公式ナガラ當府警察部長ヘノ依頼」があったと回答したが、おそらく、この内務省メモのようなはたらきかけが、大阪府警察部長に対してもなされたのであろう。」と永井は言っている。正面から「合法」なら「内務省メモのようなはたらきかけ」など不要ですよね。

ところで、bear氏が言う「『軍の慰安婦なんてあるわけないから詐欺』という判断をして、全国の警察が、詐欺や略取誘拐の疑いで逮捕してる事案がありますね。」

のひとつが、和歌山の例。それに対し「これ、結局は、軍の依頼であり、警察も噛んで合法性を確かめた上で渡航させてたから、無罪放免になってます。」と、その時の「無罪」を、そのまま現在に通用させようとする、無知極まりない感受性をbear氏は誇示している。

しかし、永井論文によれば「一部の地方を除き、軍の慰安所設置について何も情報を知らされておらず、慰安所の設置はにわかに信じがたい話であった。国家機関である軍がそのような公序良俗に反する事業をあえてするなどとは、予想だにしなかった。

かりに軍慰安所の存在がやむを得ないものだとしても、そのことを明らかにして公然と慰安婦の募集を行うのは、皇軍の威信を傷つけ、一般民心とくに兵士の留守家庭に非常な悪影響を与えるおそれがあるので、厳重取締の必要があると考えていた。そして、実際にそのような募集行為を行わないよう業者を指導し、管下の警察署に厳重取締の指令を下した。 」例は多い。

群馬県警察は「本件ハ果タシテ軍ノ依頼アルヤ否ヤ不明且ツ公秩良俗ニ反スルガ如キ事業ヲ公々然ト吹聴スルガ如キハ皇軍ノ威信ヲ失墜スルモ甚シキモノト認メ厳重取締方所轄前橋警察署長ニ対シ指揮致置候」と命令している。 http://www.awf.or.jp/pdf/0051_1.pdf#49

宮城県名取郡在住の周旋業者宛に、福島県平市の同業者から「上海派遣軍内陸軍慰安所ニ於ル酌婦トシテ年齢二十歳以上三十五歳迄ノ女子ヲ前借金六百円ニテ約三十名位ノ周旋方」を依頼する葉書が届いたというもので、警察は周旋業者の意向を内偵し、本人に周旋の意志のないのを確認させている。http://www.awf.or.jp/pdf/0051_1.pdf#90

支那各地ニ於ケル治安ノ恢復ト共ニ同地ニ於ケル企業者簇出シ之ニ伴ヒ芸妓給仕婦等ノ進出亦夥シク中ニハ軍当局ト連絡アルカ如キ言辞ヲ弄シ之等渡航婦女子ノ募集ヲ為スモノ等漸増ノ傾向ニ有之候処軍ノ威信ニ関スル言辞ヲ弄スル募集者ニ就テハ絶対之ヲ禁止シ又醜業ニ従事スルノ目的ヲ以テ渡航セントスルモノニ対シテハ身許証明書ヲ発給セザルコトニ取扱相成度

http://www.awf.or.jp/pdf/0051_1.pdf#62

「軍の慰安所政策(国家機関が性欲処理施設を設置・運営し、そこで働く女性を募集する)は、当時の社会通念からいちじるしくかけ離れたものであった」は、明らかである。ところが「公娼は戦前は合法」のひとことで、そのような常識を一切無視してしまう日本人が最近極端に増えた。その人が恥知らずなのは私の力の及ぶところではないが、1938年当時の全国の警察官などの過半はけっしてそうした感受性は持っていなかったよ!と言っておきたいですね。

http://nagaikazu.la.coocan.jp/works/guniansyo.html :永井論文urlをもう一度。ちょっとしんどいが、ぜひ読んでください。

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長くなりすぎたけど、ぼちぼちtwitterに貼っていこう。

https://twitter.com/noharra/status/1044592403884126208 以下に。

返信2018/09/25 23:32:36