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2007-06-28

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 みなさん、こんにちは。

 ヘボ翻訳人 AKA Stiffmuscleと申します。

 このブログでは以下の2点をテーマに進めていこうと考えています。

1. 英語資料文献の収集と重要部分の翻訳

  • 慰安婦問題に関する国連文書、国際機関の文書
  • 慰安婦問題に関わる国際法
  • 英語の書籍や文献の紹介

2.慰安婦ドキュメンタリー映画"Behind Forgotten Eyes"の情報の公開

  Behind Forgotten Eyes: A Bold New Documentary

  http://www.behindforgotteneyes.com/

*この映画はyamaki622さんに紹介してもらいました。

 途中で投げ出してしまわないように、目的を確認しつつ、ぼちぼちと取り組もうと思います。

 みなさんからのご意見、ご質問、ご指摘などお待ちしております。

                              June 29, 2007

                              Stiffmuscle




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(この記事は書きかけです)


【増補新装2000年版】戦時・性暴力をどう裁くか 国連マクドゥーガル報告全訳

  2000年 凱風社、VAWW-NET Japan[編訳]松井やより+前田朗 [解説]


本書の「まえがき」で、故松井やよりは次のように述べている。

「慰安婦」制度は五つの国際犯罪であり、実行者、責任者、共犯者を裁く

 では、強かん性奴隷制など性暴力は国際法から見てどのような犯罪にあたるのか、報告書は関連条約をもとに、人道に対する罪、奴隷制、ジェノサイド、拷問、戦争犯罪の五つの国際犯罪であると、関連のいくつもの条約をもとに判定している。そのなかで戦争犯罪は、国内、国際両方の武力紛争下の犯罪を含み、それ以外の四つの犯罪は戦時だけでなく、平時でも犯罪だとしている。また、人道に対する罪、奴隷制、ジェノサイドと、ある種の戦争犯罪と拷問は、いかなる場合でも、つまり法律があろうがなかろうが禁止されるべきユス・コーゲンス(強行規範)の犯罪であると見ている。(上掲書、7~8頁、強調は引用者による)

 *「まえがき」、目次、および「あとがき」は凱風社のHP上で読むことができる。 LINK


同書では、また、ゲイ・マクドゥーガル氏が依拠した関連条約を、解説者の前田朗氏が一覧にしている(上掲書、122頁)。それをもとに、条約に関する情報などを加えて、以下のように一覧にまとめてみた。なお、この一覧は随時加筆、修正などしていきます。情報やご指摘、ご意見などお寄せいただけると有難いです。



1872年のペルー人貿易商の事件(マリア・ルス号事件)  [付属文書13]

 1872(明治5)年旧暦6月4日、横浜港に停泊中のペルー船籍マリア・ルース号から一人の中国人(当時は清国人)が逃げ、イギリス船に救助された。イギリス代理公使から連絡を受けた神奈川県がマリア・ルース号を調査した結果、奉公契約の名のもとにマカオからペルーへ「船客(奴隷)」を運ぶ船であることが判明し、神奈川県は奴隷を保護した。マリア・ルース号側が「船客」の引き渡しを要求したが、神奈川県令は、「実態が奴隷のような奉公契約は日本国内では無効であり、日本の利益と政策に反する。国内に奴隷制を持っていた時代のアメリカですら奴隷売買は禁止していた。日本政府はその保護を受ける労働者らが自由意志に反して日本の管轄権外に出ることを許さない」と判定し帰国させた。(中略)この事件をきっかけに、日本が人身売買を公認していたことが表面化し、「遊女解法令」で人身売買を禁止することになった。

    (同書、123頁、引用者が漢数字を英数字に改めた、以下同じ)


サンフランシスコ講和条約 第11条  [付属文書34]

第十一条

 日本国は,極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し,且つ,日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている物を赦免し,減刑し,及び仮出獄させる権限は,各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外,行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については,この権限は,裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外,行使することができない。


ジェノサイド条約   [本文48]

 1948年12月9日、国連総会で採択された条約で、1951年に効力を発生した。国連総会は1946年12月1日の決議で「ジェノサイドは、国連の精神と目的とに反し、かつ文明世界によって罪悪と認められた国際法上の犯罪である」と確認し、これを受けて条約が採択された。日本政府は批准していない。条約第1条は「ジェノサイドは平時に行われるか戦時に行われるかを問わず、国際法上の犯罪である」とした。第2条は、ジェノサイドを次のように定義している。

「この条約では、ジェノサイドとは、国民的、人種的、民族的または宗教的集団を全部または一部破壊する意図をもって行われた次の行為のいずれもを意味する。

 a 集団構成員を殺すこと。

 b 集団構成員に対して重大な肉体的または精神的な危害を加えること。

 c 全部または一部に肉体的破壊をもたらすために意図された生活条件を

   集団に対して故意に課すこと

 d 集団内における出生を防止することを意図する措置を課すこと

 e 集団の子どもを他の集団に強制的に移すこと。」

    (同書、123~124頁)


ジェーンズ事件  [付属文書43]

 1926年11月16日のアメリカ=メキシコ一般請求委員会の仲裁判決事例。アメリカ人がメキシコ人により殺害されたが、メキシコ司法当局が適切な措置をとらなかったため犯人逮捕ができず、処罰に失敗した。判決は、犯人の不逮捕・不処罰に対する国家責任を認めて、メキシコ政府に対して被害者遺族のために損害賠償の支払を命じた。被害者遺族にかわって請求していたアメリカ政府は、25,000ドルを請求していた。判決は、犯罪行為そのものによる損害ではなく、犯罪が処罰されなかったことによる遺族の損害を認めて、12,000ドルの支払を命じた。ジェーンズ事件が特に有名だが、同様の事件は、クリング事件(1930年10月8日判決)*[など数多くある。] いずれも政府が犯罪者を処罰しないことは犯罪を是認することにつながるとして、不処罰を理由とした賠償を認めた。(同書、124頁 )

  • 原文では同種の事件名(判決日)が列記されているが省略し、 [  ]の部分を を引用者が補完し文をまとめた。


ジュネーブ諸条約  [本文8」

 1949年にジュネーブの全権外交会議で作成・協定された4つの条約の総称で、今日の人道国際法(戦時国際法)の基幹をなす。以下の4つの条約からなる。

  • 「戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する一九四九年八月十二日のジュネーブ条約(第一条約)」
  • 「海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する一九四九年八月十二日のジュネーブ条約(第二条約)」
  • 「捕虜の待遇に関する一九四九年八月十二日のジュネーブ条約(第三条約・捕虜条約)」
  • 「戦時における文民の保護に関する一九四九年八月十二日のジュネーブ条約(第四条約・文民条約)」

ジュネーブ諸条約は「戦争又はその他の武力紛争」に適用されるだけではなく、4つの条約に共通の第三条(共通第三条)で「国際的性質を有しない武力紛争」の場合にも一部の規定を適用することにしている。日本政府は1953年にこれらの条約に加入している。(同書、125頁 引用者により一部改変)



ジュネーブ 第四条約第147条  [本文58]

 「前条にいう重大な違反行為とは、この条約が保護する人又は物に対して行われる次の行為、すなわち、殺人、拷問若しくは非人道的待遇(生物学的実験を含む。)、身体若しくは健康に対して故意に重い苦痛を与え、若しくは重大な損害を加えること、捕虜を強制して敵国の軍隊で服務させること又はこの条約に定める公正な正式の裁判を受ける権利を奪うことをいう。」

 第四条約第146条は、これら重大な違反行為につき、締結国に責任者の捜査、訴追、処罰を義務づけている。(同書、125頁)



ハーグ陸戦条約、規則 [本文56、付属文書4]

 戦争法の条約化は1874年のブリュッセル宣言案などに始まるが、ロシア皇帝のイニシアチブのもとに開催された1899年のハーグ平和会議や、1907年のハーグ平和会議において数多くの国際文書が採択された。1907年のハーグ平和会議で採択された13の条約のうちの第四条約である「陸戦の法規慣例に関する条約」と、その付属文書は、ハーグ陸戦条約(ハーグ第四条約)、ハーグ陸戦規則と呼ばれる。

 ハーグ陸戦条約は、全文と全9箇条からなり、その第三条が「違反」とその責任を規定する。

 付属文書の「陸戦の法規慣例に関する規則」(ハーグ陸戦規則)は全56箇条からなる。交戦者、戦闘、占領地に関する保護規定をもつ。(同書125~126頁)



ハーグ陸戦条約第3条 [付属文書42]

 ハーグ陸戦条約第三条は次のように規定する。

「前記規則の条項に違反した交戦当事者は、損害がある場合はその賠償責任を負わなければならない。交戦当事者は、その軍隊の構成員のすべての行為について責任を負わなければならない。」

報告書原文では、予防、捜査、処罰に関する義務に言及している。この条文を、文脈からこのように解釈したものであろうか。(同書126頁)



ベルサイユ条約 [付属文書45]

 第一次世界大戦終了後のベルサイユ講和会議で、ドイツ皇帝の戦争責任が問題とされた。それ以前は、国際法上、戦争に関する個人責任は認められていなかったが、これ以後、個人責任が問われることが論理的には認められることになった。ベルサイユ条約227条は次のように規定する。

「同盟及び連合国は、国際道義と条約の神聖を傷つけた最高の犯罪について、前ドイツ皇帝ホーエンツォレルン家のウィルヘルム2世を訴追する。右の被告を審理するために特別裁判所を設置し、被告に対して弁護権に必要な保護を与える。この裁判所は5名の裁判官をもって構成し、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、日本が各1名の裁判官を任命する。」

 個人の国際法主体性を認めた条約に日本が加わり、特別裁判所裁判官を任命する予定であったことに注目する必要がある。なお、当時ウィルヘルム2世を保護していたオランダ政府が、ウィルヘルム2世の引渡しを拒否したため、実際には裁判が行われなかった。(同書、126頁)



ホルジョウ工場事件 [付属文書47]

 1927年の常設国際司法裁判所の判決事例。賠償を律する基本原則について次のように述べた。

「補償は、可能な限り、違法行為のすべての結果を除去し、かつ、その行為が行われなかったならばおそらく存在したであろう状態を回復しなければならない」。

 現状回復が補償の通常の方法であり、原状回復が不可能な場合に、賠償がなされるべきであるとする。

「原状回復又は、もしそれが不可能ならば、原状回復が有していた価値に相当する額の支払い、原状回復によって補われない損失のための損害利息の支払い、又はその代わりの支払い、これらは国際法に違反する行為に帰せられた賠償の額の決定がなされるべき原則である。」(同書126~127頁、一部編集)



マルテンス条項

 紛争当事国の一つが条約を締結せず、条約の適用を希望しない旨表明している場合でも、人道萌芽まったく無縁となるわけではなく、人道は一定の絶対命令を尊重することを要求することを確認した条項。1907年のハーグ陸戦条約前文は次のように規定する。

「もっと完備した戦争法規に関する法典が制定されるまでは、締約国は、その最強した条規に含まれていない場合であっても、人民および交戦者が依然文明国の間に存立する慣習、人道の法則および公共の良心の要求から生じる国際法の原則の保護および支配のもとにあることを確認することが適当である。」

 マルテンス条項は、第一追加議定書第1条第2項でも次のように確認されている。

「文民及び戦闘員は、この議定書又は他の国際取決めがその対象としていない場合においても、確立した慣習、人道の諸原則及び公共の良心に由来する国際法の原則に基づく保護並びに支配の下に置かれる。」

 第ニ追加議定書前文も同様の条項をもつ。(同書、127頁)


原文

Until a more complete code of the laws of war has been issued, the High Contracting Parties deem it expedient to declare that, in cases not included in the Regulations adopted by them, the inhabitants and the belligerents remain under the protection and the rule of the principles of the law of nations, as they result from the usages established among civilized peoples, from the laws of humanity, and the dictates of the public conscience.

http://www.yale.edu/lawweb/avalon/lawofwar/hague04.htm#iart1


和訳

一層完備シタル戰争法規ニ關スル法典ノ制定セラルルニ至ル迄ハ、締約國ハ、其ノ採用シタル條規ニ含マレサル場合ニ於テモ、人民及交戰者カ依然文明國ノ間ニ存立スル慣習、人道ノ法則及公共良心ノ要求ヨリ生スル國際法ノ原則ノ保護及支配ノ下ニ立ツコトヲ確認スルヲ以テ適當ト認ム

http://homepage1.nifty.com/SENSHI/data/haug.htm



ユス・コーゲンス(強行規範) [本文8、付属文書12]

 いかなる場合にも逸脱を許されない一般国際法のの規範で、後に成立する一般国際法の強行規範によらなければ変更できない規範のこと。条約法に関するウィーン条約53条に規定されている。任意の国際法規範が強行規範と抵触する場合、それが強行規範より後の法であったり、特別法であっても、無効とされる。(同書、127頁、引用者により一部改変)


原文

Article 53 Treaties conflicting with a peremptory norm of general international law (“jus cogens”)

A treaty is void if, at the time of its conclusion, it conflicts with a peremptory norm of general international law. For the purposes of the present Convention, a peremptory norm of general international law is a norm accepted and recognized by the international community of States as a whole as a norm from which no derogation is permitted and which can be modified only by a subsequent norm of general international law having the same character.


和訳

第五十三条 一般国際法の強行規範に抵触する条約

締結の時に一般国際法の強行規範に抵触する条約は、無効である。この条約の適用上、一般国際法の強行規範とは、いかなる逸脱も許されない規範として、また、後に成立する同一の性質を有する一般国際法の規範によつてのみ変更することのできる規範として、国により構成されている国際社会全体が受け入れ、かつ、認める規範をいう。



リーバー法 [付属文書17]

 アメリカ南北戦争時にリンカーンの要請でフランシス・リーバーが作成した陸戦訓令(1863年)。後の諸国の訓令や国際会議における戦争法の成文化作業に大きな影響を与えた。(同書、128頁)



国際慣習法 [本文28]

 国家の一定行為が長期にわたる継続的反復からなる習行となっており、その行為が法的義務に対応したものであるとする法的信念が存在する場合、国際慣習法が成立したとされ、国際法の法源とされる。成立した国際慣習法の適用範囲は、条約とは異なり、一般にすべての国に及ぶとされる。(同書、128頁)



国際刑事裁判所 [本文12]

 1998年7月、「国際刑事裁判所規程」がローマにおける全権外交会議で、賛成120、反対7で、採択された。日本政府は賛成した。反省はアメリカ、中国、リビア等。侵略の罪、ジェノサイド、人道に対する罪、狭義の戦争犯罪を裁く常設の国際裁判所を設置する条約である。国際連合創立当時、ナチスの戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判の基本内容を「ニュルンベルク原則」として確認し、その後、国際刑事裁判所を創立するための作業を国際法委員会に委ねた。しかし、冷戦その他の理由から作業は大幅に遅延した。

 1996年、国際法委員会は最終草案を国連総会に提出し、その後の2年にわたる討議の結果として、初めて常設の国際戦争犯罪法廷が設立されることになった。国際刑事裁判書規定第5条は、「強姦、性奴隷、強制売春、強制妊娠、強制中絶」等は、1998年6月に人権小委員会に提出された。まだ国際刑事裁判書規定が採択されていなかったので、「提案されている国際刑事裁判書」と表現されている。(同書、128頁)



国際人道法  [本文13]

武力紛争における紛争当事国(者)間の敵対関係に関する国際法。古くは戦争法とか戦時国際法と呼ばれた。

かつては戦争が無制限に認められていたが、第一次世界大戦後の戦争違法化の流れのなかで、武力紛争を法的に規律する試みが進められた。

1971年に国連と赤十字国際委員会の協力で開催した「武力紛争に適用される国際人道法の再確認と発展」のための会議以後、国際人道法と呼ばれるようになった。人道的理由から、敵対行為、兵器の使用、戦闘員の行動などに限界を定めた規範を含む。

武力紛争は人の基本的人権を根こそぎ否定するため、人権を保障する観点では、国際人道法から国際人権法への発展という一面も見られる。(同書、128~129頁)



条約法 [本文28]

 国際法の法源としての条約による規範のこと。広い意味での条約とは、国際法主体(主に国家)間に締結され、一定の法的効果を生み出すあらゆる合意をさし、「条約」という名称を持つとは限らない。条約、協定、協約、合意等の総称が条約法である。国際法の法源には、条約のほかに、国際慣習がある。また、法の一般原則、判例・学説に法源を認めるか否かは争いがある。(同書、129頁)



女性に対する暴力撤廃宣言 [本文13]

 1993年12月20日に国連総会で採択された全6条の宣言。第2条の定義規程は次のとおり。

「女性に対する暴力には以下のものが含まれると理解される(ただし、これに限定されない)

(a) 家庭内で発生する身体的、性的および心理的暴力で、殴打、世帯内での女児に対する性的虐待、持参金に関する暴力、夫婦間暴力、女性性器の切除およびその他の女性に有害な伝統的慣行、非夫婦間の暴力および搾取に関わる暴力

(b) 地域社会で発生する身体的、性的および心理的暴力で、職場、教育施設およびその他の場所における強姦、性的虐待、セクシュアル・ハラスメントおよび脅迫、女性の人身売買および強制売春

(c) 発生場所にかかわらず、国家が犯す、又は黙認する身体的、性的および心理的暴力」(同書、129頁)



人権小委員会


戦争犯罪 時効 不適用条約 [本文87]

 1968年、国連総会が採択した「戦時犯罪及び人道に対する罪への時効の不適用に関する条約」は、戦争犯罪と人道に対する罪が国際法上のもっとも重要な犯罪に属することを考慮して、両犯罪には時効が存在しないという原則を国際法において確認し、その普遍的適用を確保しようとしている。条約によれば、

  1. ニュルンベルグ裁判憲章によって定義され、国連総会決議に確認された戦争犯罪、特にジュネーブ諸条約に列挙された重大な違法行為、
  2. 戦時に犯されたか平時に犯されたかを問わず、人道に対する罪、武力紛争または占領による追放およびアパルトヘイト政策に基づく非人道的行為、ならびにジェノサイドの罪には、

その犯行の時期に関係なく時効は適用されない。

 なお、ドイツ、フランス、ポーランド等は時効不適用を国内法令で規定している。

(同書、131頁。 なお、丸数字の丸囲みは外した。また、適宜、改行を入れた。)


第一追加議定書 [本文59]

 1977年に作成された「国際武力紛争の犠牲者の保護に関し、1949年8月12日のジュネーブ諸条約に追加される議定書」で、1978年に効力を発した。一般住民に関する各種の保護規定をもつ。

 第75条第2項(b)は「個人の尊厳に対する侵害、特に、侮辱的で対面を汚す待遇、強制売春、及びあらゆる種類のわいせつ行為」を禁止している。

 第76条第1項は次のように規定する。

「女性は、特別の尊重の対象とし、かつ、特に強姦、強制売春及び他のあらゆる形態のわいせつ行為から保護しなければならない。」

 なお、第77条第1項は子どもについて同様の保護を規定する。


(同書、131頁。引用者により適宜改行。)



第二追加議定書 [本文70]

1979年に作成された「非国際的武力紛争の犠牲者の保護に関し、1949年8月12日のジュネーブ諸条約に追加される議定書」で、1978年に効力を発生した。

第4条は人道的待遇の基本的保証のために各種の規定をもつが、

その第2綱(e)は「個人の尊厳に対する侵害、特に、侮辱的で対面を汚す待遇、強姦、強制売淫、及びあるゆる種類のわいせつ行為」、

(f)は「あらゆる種類の奴隷待遇及び奴隷売買」を禁止している。」


(同書、131~132頁。引用者により適宜改行。)



東京裁判憲章第5条 [本文44、付属文書16]

 第二次世界大戦後、日本の戦争犯罪人を裁くために連合国総司令官が制定した極東国際軍事裁判憲章第5条は「人並びに犯罪に関する管轄」として、次のように規定する。


 「本裁判所は、平和に対する罪を包含する犯罪について個人として又は団体構成員として訴追された極東戦争犯罪人を審理し、処罰する権限を有する。

(a) 平和に対する罪 即ち、宣戦を布告した又は布告しなかった侵略戦争、若(もしく)は、国際法、条約、協定又は誓約に違反した戦争の計画、準備、開始、又は実行、若は右諸行為のいずれかを達成するための共通の計画又は共同謀議への参加。

(b) 通例の戦争犯罪 即ち、戦争法規又は戦争慣例の違反。

(c) 人道に対する罪 即ち、犯行地の国内法違反であるか否かにかかわらず、本裁判所の管轄に属する犯罪の遂行として又はこれに関連して為された殺戮、せん滅、奴隷的虐使、追放その他の非人道的行為、若は政治的又は人種的理由に基づく迫害行為。」


(同書、132頁。適宜改行を施した。)



奴隷条約 [本文27]

 1926年9月25日に成立した国際連盟時の条約で、今日も有効である。全12条からなり、締約国に奴隷売買の禁止と奴隷制度((引用者柱-人を奴隷の状態に置くこと))廃止義務を課し、そのための措置、相互援助、国内法の処罰規定、通報等を規定する。

 第1条は次のように定義する。

「この条約の適用上、次の定義に同意する。

  1.  奴隷制度*1とは、ある人に対して、所有権に伴う権能の一部または全部が行使される場合、その人の地位または状況をいう。
  2.  奴隷売買とは、その者を奴隷の状態に置く意思を持って行う個人の捕捉、取得又は処分に関係するあらゆる行為、その者を売り又は交換するために行う奴隷の取得に関するあらゆる行為、売られ又は交換されるために取得された奴隷を売り又は交換することによって処分するあらゆる行為並びに、一般に、奴隷を取引し又は輸送するすべての行為を含む。」

日本政府は、この最も古い人権条約をいまだに批准していない。また、日本政府は、付属文書に示されているように、奴隷制の禁止は第二次世界大戦時の国際慣習法ではないと主張している。(同書、132~133頁)


法律なければ犯罪なし [付属文書25]


「許されざる形態の強制労働」 [本文65、付属文書23]

 1930年に採択され、1932年に効力を発生した強制労働条約(強制労働ニ関スル条約)は、強制労働の禁止を目的としていたが、完全に禁止したものではなく、一定のもとでは強制労働を認めていた。日本政府は1932年にこの条約の批准手続きをとった。

 条約2条は、たとえば、次のものは強制労働にあたらないとしている。

  1.  純然たる軍事的性質の作業(徴兵等)
  2.  通常の公民義務
  3.  裁判所における判決による作業(懲務等)
  4.  緊急の場合の労務等

 また、強制労働が認められる者については、18歳以上45歳以下の強壮な男子に限られ、夫婦および家庭の関係を尊重すること、強制労働の期間は60日以内とすること、労災対策をとること、鉱山の地下労働は禁止すること等を規定していた。

 〔マクドゥーガル〕報告書は、「慰安所」における「労働」は許されず、違法であることを確認している。この点については、1996年のILO条約適用委員会の勧告があり、同年のチャベス報告書も同じ立場を表明していた。

 なお、強制労働の完全禁止は、1957年の「強制労働の廃止に関する条約」を待つことになる。もっとも、日本政府はこちらは批准していない。(同書、133~134頁)

ILO駐日事務所 HPより



関連URL

*1:引用者柱-人を奴隷の状態に置くこと

PhlsPhls2007/07/02 02:01はじめまして。会話は初めてですが、慰安婦グループでのご活躍や碧猫様のところのコメント欄でよくお名前をお見受けしていますので、初めての気がしませんw。

本題なのですが、戦争犯罪時効不適用条約の日本語版を発見しましたので、リンクを張らせてもらいます。
http://homepage2.nifty.com/mekkie/peace/bunken/bunken10.html

PhlsPhls2007/07/02 02:12すいません、↑のリンクは無しです。使えません(全部で11条あるのに4条までしかないので)。変なの張ってすいません。
代わりに原文(だと思います……。英語が苦手なので保証できないのですが)を張っておきます。
http://www.unhchr.ch/html/menu3/b/p_limit.htm

StiffmuscleStiffmuscle2007/07/02 12:29Phlsさん
こちらこそ、はじめまして。お声かけていただいて嬉しいです。よろしくお願いします。
情報ありがとうございました。下のリンクが原文であること確認しました。日本政府は、批准してない国際法を翻訳するつもりがないみたいなので、上のリンクも貴重な情報ですから、貼っておきたいと思います。
本来なら政府が率先して日本語訳を公表し、言葉の違いに起因する情報のギャップを埋めるべきなんですよね。

PhlsPhls2007/07/02 23:51>本来なら政府が率先して日本語訳を公表し、言葉の違いに起因する情報のギャップを埋めるべきなんですよね

そうなんですが、日本政府の訳だと、意図的に翻訳を歪めていそうで信じられない、とも思います。悪知恵だけは働く国ですから。

残りの条約関連の情報です。長文、というか一度に沢山張ってしまいますが、お許しください。

女性に対する暴力撤廃宣言(Declaration on the Elimination of Violence against Women )
は題名から判断して、おそらく↓だと思います。
http://www.unhchr.ch/huridocda/huridoca.nsf/(Symbol)/A.RES.48.104.En?Opendocument
(これは昨日の時効不適用条約とともに以下のサイトにありました。人権関係の国際法が集まってるので一応URL張っておきます。
http://www.unhchr.ch/html/intlinst.htm )

東京裁判憲章(極東国際軍事裁判憲章)(Charter of the International Mlitary Tribunal for the Far East)は以下です。
Yale Law Schoolより
http://www.yale.edu/lawweb/avalon/imtfech.htm
もう一つ張っておきます。こちらの方が見易いかもしれません。
http://asp.alhaq.org/zalhaq/site/eDocs/txtDocs/intl%20law/ICL/nternational_mil.htm

PhlsPhls2007/07/02 23:53続きです(URLの個数の関係で一度には張れなかったので)。

ハーグ陸戦条約は和訳は↓で
http://homepage1.nifty.com/SENSHI/data/haug.htm
その中のマルテンス条項に該当する部分は以下です。

「一層完備シタル戰争法規ニ關スル法典ノ制定セラルルニ至ル迄ハ、締約國ハ、其ノ採用シタル條規ニ含マレサル場合ニ於テモ、人民及交戰者カ依然文明國ノ間ニ存立スル慣習、人道ノ法則及公共良心ノ要求ヨリ生スル國際法ノ原則ノ保護及支配ノ下ニ立ツコトヲ確認スルヲ以テ適當ト認ム」

マルテンス条項の判断根拠は以下に依拠しました。
http://www.hg-law.jp/iraq/document/g_preparation_06_05.html
の「(2) 武力行使の手段と方法の規制」の中に引用されているマルテンス条項及び
http://www31.ocn.ne.jp/~hinode_kogei/antigo97.html
に引用してあるマルテンス条項

「一層完備したる戦争法規に関する法典の制定せらるるに至る迄は、締約国は其の採用したる条規に含まれざる場合に於ても、人民及交戦者が依然分明国の間に存立するの慣習、人道の法則及公共良心の要求より生ずる国際法の原則の保護及支配の下に立つことを確認するを以って適当と認む」
「世界に問われる日本の戦後処理2 戦争と人権、その法的検討」(日本弁護士連合会編 東方出版)

という箇所です。

StiffmuscleStiffmuscle2007/07/03 17:33Phlsさん、多くの情報ありがとうございます。
特に、カナ混じり文は苦手なのでとても助かります。
本文に反映させるまで少々時間がかかるかもしれませんが、お許し下さい。

>そうなんですが、日本政府の訳だと、意図的に翻訳を歪めていそうで信じられない、と>も思います。悪知恵だけは働く国ですから。

その危惧は多いにありますが、訳文を公表するのは公的機関ですから、公正な訳出するのが国民にたいする義務です。本人たちが理解できていないのが問題なのですが、政権党がどこになろうと変わらない訳をしなければ、結局、自分の首を絞めることになります。